クレジットカード関連でよく耳にするVisaですが、そもそもVisaって何なの?ビジネスモデルは?なんていう方に向けて、国際ブランドの代表格であるVisaについて徹底解説します!
簡単なところからわかりやすく説明しておりますので、ぜひぜひご覧ください。
VISAってどんな会社?
企業情報
まず、Visaという会社の基本情報からお話しします。株式会社Visaはアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を構えるアメリカのクレジットカードの決済ブランド会社です。
より大きなくくりで言うと、金融業と言うことができますね。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)という世界最大の証券取引所に上場していて、時価総額は約3485億ドルです。1ドルが112円だとすると、約30兆円となります。もちろん日本のどの企業よりも大きく、世界でも15位あたりに位置する巨大企業です。
上場先のNYSEは日本でいう東京証券取引所です。日本の大企業の多くは東証一部という取引市場に上場していることが多いですが、Visaはその上位互換的存在のニューヨーク市場に上場しているわけです。
クレジットカードの決済事業を展開しているというと、比較的新しい会社なのかと思う方も多いかもしれませんが、設立は1958年です。その頃にクレジットカードはもちろん使われていませんでしたが、Visaはバンク・オブ・アメリカが元の企業なので、これだけ昔からある企業ということになります。そのため、会社の持ち主である株主の中にはバンク・オブ・アメリカもあります。日系企業では三井住友カードも株主に入っています。
そんな巨大企業Visaの創業者はディー・ホックというアメリカ人で、現在もご存命なのですが、なぜかあまり知られていません。実際、Wikipediaにも記事は存在しませんでした。しかし、Visaに関しての著書などがありますので、彼について気になる方はそちらをご覧ください。また、Visaのロゴマークである青と黄色はカリフォルニア州の青空と金色の丘をイメージしているそうです。
カードの種類
Visaというとクレカのイメージが強いですが、そのほかにもデビットカード、プリペイドカードの2つがあります。
クレジットカード
多くの人が利用するのはこのクレジットカードのタイプでしょう。クレジットカードの特徴は後払いです。ご存知かとは思いますが、決済を終えてもそのタイミングでは口座の残高に変わりはなく、後日にその分が引き落とされる形になっています。月末にまとめて引き落とし額の通知が来て冷や汗をかいたことのある方も多いでしょう。
ランク
クレジットカードにはランクがあります。クラシックカード、ゴールドカード、プラチナカード、ブラックカードの順でランクが上がります。ある程度年収が安定していれば基本的に誰でもクラシックカードは作ることができます。
ゴールドカード以降は審査を通過するのが難しくなります。ただ、ゴールドまでであればいわゆる大企業に勤めている方は比較的簡単に入手可能です。
一昔前はゴールドカードを持っていれば相当なステータスでしたが、今は昔ほどではないようです。ただし、プラチナカードになると審査を通過するのは相当難しく、ブラックカードに至っては持っている人などほぼお目にかからないほどです。
これらのランクは一種のステータスのようなものでもありますが、高いランクのカードはその分様々なサービスを受けられます。買い物の時の高いポイント還元や海外旅行の付帯保険の他に、空港のラウンジ利用や担当のコンシェルジュが付くサービスなど挙げればキリがありません。百貨店のカードであればそこでの駐車場利用サービスやメンバーズサロンの利用、買い物の配送サービスなどもあります。
ゴールド以上はどれも年会費がかかりますが、それに見合ったサービスを受けられるといっていいでしょう。
デビットカード
デビットカードは即時払いです。決済と同時に口座から引き落とされます。そのため、基本的には残高以上の支払いはできなくなっております。留学に行くお子さんに持たせる方も多いそうです。
プリペイドカード
プレペイドカードはその名の通り、預払いとなっています。あらかじめお金を入れ、その分だけ使うことができます。日本でよく使われるSuicaやPASUMOなどの交通系ICカードもプリペイド式、といえば分かりやすいでしょうか。海外のATMで現地通貨を引き出すことができます。(ただ、ATMが日本ほど普及している国はありませんので海外ではどこにでもATMがあるとは思わない方が良いです。)
ビジネスモデル
次に、Visaのビジネスモデル、簡単にいうと、どんなサービスを提供していて、どうやって利益を上げているのか、です。実は、Visaという会社自体はカードを発行していません。単に決済のサービスを提供しているだけであり、カードを発行する(例えば三菱UFJ)がVisaに一定のマージンを払うことによってVisaの決済インフラを利用したカードを発行できるということになっています。ライセンス料を支払っていると考えると分かりやすいかもしれないですね。
利用者側のメリットとしては、現金で支払う必要がないので楽なこと。特に大きな買い物をするときに全て現金で用意したり小切手を発行したりするのは手間だしリスキーでもありますよね。
一方、店舗側のメリットとしては、高額の商品を買ってもらえることや、店舗に置く現金の量が少なくなるので盗難の心配が減ることなどが挙げられます。
このように双方にメリットがあるためクレジットカードは発行されるのです。そして、Visaはその需要に入り込みつつも、自らカードを発行するのではなく、フランチャイズ式に展開することによって安定した収益をあげています。
このビジネスモデルはネットワーク効果が強く働くので、一度地位を確立したビザやマスターカードが同業他社に取って代わられることは考えづらいです。
ネットワーク効果とは、顧客が増えるに従ってそのサービスの価値が上昇する効果のことを言います。例をあげると、現代の日本人の多くがLINEを使っています。しかし、なぜLINEと同じ機能を備えたアプリではなくLINEを使うのでしょうか。それは、周りのみんながLINEを使っているからです。1人だけカカオトークを使っていても、メッセージを遅れる相手は限られてしまいます。多くのSNSはこのネットワーク効果を得ます。
この現象がクレカにも言えて、有名でない会社の決済システムを搭載したカードは使いどころがありません。そのため、みんな世界的に普及しているブランドを利用するのです。
更に他社が参入しにくい理由として、利益率の低さが挙げられます。クレジットカード会社が得られる手数料は決済金額の5%ほどです。たったの5%で黒字経営を達成するのは容易ではありません。
有名なブランドは店舗が世界中にあるので大きな利益を挙げられますが、成長するまでには巨額の先行投資が必要と考えられます。そのため、他社もわざわざ勝ち目の薄いクレカ業界には参入してこないのです。
その他の国際ブランド
MasterCard
Visaと並ぶ2大ブランドです。アメリカ発の企業でニューヨーク市場に上場しています。ビザではなくマスターカードのカードを利用している方も多いでしょう。基本的に世界ではビザかマスターカードのカードを持っていれば安心だと言われています。Visaが規模でいうと一番大きいですが、ヨーロッパではマスターカードが強いとも言われます。正直、Visaとの大きな違いはありません。
American Express
アメックスと呼ばれることも多いです。Visaと同じくニューヨーク市場に上場しており、主要株主にはバークシャー・ハサウェイが名を連ねており、全株式の18%近くを保持しています。
バークシャー・ハサウェイは常に世界の時価総額ランキングで5位前後に位置している企業で、世界三大投資家筆頭のウォーレン・バフェットがCEOを務めることで有名です。
アメックスは決済時にかかる手数料が他のブランドに比べて若干高いこともあり、利用可能な店舗数がビザとマスターカードほどは多くないのでそこまで利便性が高くありません。ただ、ステータス性ではトップクラスです。
ダイナースクラブ
アメックスと同じくブランド価値の高いことで知られています。日本での知名度は若干低いかもしれませんね。こちらもシティグループ傘下のアメリカ企業で歴史の長い金融業者です。
ダイナースクラブカードは見た目から高級感があり、ダイナースの中では最も平凡なカードでありながらも、他社のゴールドカード以上の存在となっています。その上位のプレミアムカードになると、年会費も10万円を超え、インビテーションがなければ入手できなくなっています。
JCB
JCBは日本の企業なので、日本国内においてはトップクラスの利便性を誇ります。しかし、海外ではそこまで普及しておらず、日本人観光客が多い場所でなければ使えないことも珍しくないというのが現状です。
ビザかマスターカードをすでに持っているならば新しくJCBも持つのはありですが、JCB一枚というのはいずれ困る時がくるかもしれません。
クレジットカードの未来
現代は、現金を使わないキャッシュレスの時代になりつつあります。
日本政府も2020年のオリンピックなどを見据えてキャッシュレス化を推進しています。そもそも1円硬貨を作るのに1円以上のコストがかかるようですから、早くキャッシュレス社会に移行したほうがいいでしょう。
現金を使わない決済方法として、今まではクレジットカード一強でしたが、ここにきて新たな手段も台頭してきました。最終的に人々に選ばれる決済方法は何になるのかは誰にも分かりません。
QRコード決済の台頭
近年、中国での急激な普及を筆頭に全世界で広がりを見せ始めているのがQRコード決済です。日本でも5年ほど前から一部のお店でOrigamiペイを使える場所もありましたが、本格的に普及し始めたのは去年からと言っても良いでしょう。
現在はLINE Pay、PayPay、楽天ペイ、メルペイなどが乱立している状況です。基本的にサービス内容の差別化は難しいのでネットワーク効果が勝敗の鍵を握ります。そのため、各社膨大な額を先行投資に費やしていて、赤字が先行しているという現状です。消費者側にとっても早く1つか2つに統一されてほしいものです。
QRコード決済とクレジットカードの違いとして、店舗側の負担する手数料があります。QRコードを利用した方が安いのです。なぜならば、QRの場合、QRを提供する会社が店舗と直接提携します。そのため、店舗が負担するのはQR会社1社へのマージンです。
しかし、クレカの場合は、VisaやMasterといったブランド会社の下に三井住友やオリコなどのカード発行会社がいます。つまり、店舗側は間に入る複数の企業が利益を得られるだけのマージンを払わなければならないのです。仲介する企業が少ないQR決済の方が店側にとっては都合がいいということです。
中国の現状
今の中国人は現金を使いません。しかしクレジットカードを使うわけでもなく、QRコード、バーコード決済を利用します。中国は十年前までは発展途上国でした。
発展途上国の特徴として、貨幣の偽装が横行することが挙げられます。つまり、偽札が広く使われているのです。日本などの先進国は紙幣の加工技術が著しく高いので、偽札が作られることはまずあり得ませんが、他の国々ではあり得ます。
そして、クレジットカードも安全ではありません。治安の悪い国では現在でも起こりますが、クレジットカードの情報を抜き取られて、不正利用される可能性があります。クレジットカードに暗証番号は書かれていませんが、裏をみればセキュリティ番号も分かりますし、あまり安
全性の高いシステムとは言えません。そんな状況の中で、現金を使わずにスマホ経由で支払いができるシステムが開発されました。
考えてみてください、あなたが途上国にあるお店の店員さんで、お客さんの支払い方法が現金かスマホ決済の二択だとします。あなたはどちらでの支払いを望みますか?答えは、スマホですね。なぜなら現金は偽札の可能性があるからです。
そして他の理由として、中国という国は国土が広大です。そのため現金を預けたり引き出したりするATMの数がどうしても足りないのです。日本では多くの地域にコンビニがあり、そこで現金の管理ができますが、中国ではそうはいきません。そもそもATM1台の維持費には年間300万円がかかるとも言われますから、それを国中に普及させるのにはコストがかかりすぎます。
このような事情から、中国ではスマホ決済が一気に普及しました。現在では、1ヵ月間現金を使わずに生活した人や現金お断りのお店も少なくありません。日本は未だに現金の利用率が高いので、中国人にとっては遅れている国と見られることもあるそうです。
なんにせよ、日本でもキャッシュレス化は進むことが確実視されているので、クレジットカード会社にとっても大きな分岐点になることは間違いないでしょう。